通勤者のためのブログ記事を探せ!(第4回)
第1回のブログ記事を探せ!で紹介した「フリーターの告発「『丸山眞男』をひっぱたきたい」で、就職氷河期世代・労働法制による格差助長問題、負の所得税などのブログ記事・リンク先を掲載しました。この問題は、ネットでも多く扱われていているようで、今週みつけたのが「オールニートニッポン」という”ニートのためのインターネットラジオ&マガジン”というサイトです。
そのなかに、『「丸山眞男」をひっぱたきたい」・・・』を書いた赤木智弘氏が出演されている回がありました。
雨宮処凛のオールニートニッポン: 2007年06月08日 SPトークライブ『フリーターの「希望」は戦争か?』 ゲスト:赤木智弘(ライター)、杉田俊介(有限責任事業組合フリーターズフリー)彼らのメッセージは、インパクトがあります。マスメディアでは伝えない彼らの状況、心情など「心に刺さる」ものがあります。(ポッドキャストがありますので、オススメします)
また上記サイトでも、精力的に活動されている作家 雨宮処凛さんの著書「プレカリアート(洋泉社新書)」を手に入れる機会があり、ブログから離れて今回はこの本のことを書いてみます。
プレカリアートとは、「不安定な」(precarious)+「労働者」(proletariato)の造語で、不安定な雇用・労働条件における非正規雇用者・失業者の総称だと、本の帯にあります。(今までだと「フリーター」とか「アルバイト」という非正規雇用者(+ニート)の意味のようです。)
「ニート」「フリーター」という言葉には、「やる気がない若者」とか「責任を負わない勝手な若者」とかいうイメージが、私にはありました。たぶん多くの人たちが同様のイメージを持っているような気がします。私も「大人の説教」として、「もっと努力しなさい」「みんな努力して、がんばっているんだから」というステレオタイプな「人生訓」をいう可能性がありました。少なくとも、『「丸山眞男」をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。』という論文を読むまではそう思っていました。
以前も書きましたが、この論文を読んで私は「苦しい」という感情を持ちました。彼らの状況・感情を理解しないで、無意識に作られた「レッテル」を張っている自分が相当「おバカ」なのかもと・・・・(よくそう思うのですけどね(笑))
時々ですが、自分がこのようなサイト(=通勤ドットコム)を「始めてしまった」理由について、考えることがあります。
たぶん、初期的には、「こんなアプリケーション作ったから見て欲しい」という自己顕示欲の表れだと思います。そして、「通勤時間」は、働くものにとって大きなウエィトを占める可能性があり、その時間を無駄にしてきた自分への「後悔」とこれからの「不安」の為にもしかしたら役立つのではないかという感じ・・・
つまり、社会の問題に相当無関心で「自分のこと」とその周りしか見ないで「生きてこれた時代」から、何かの”アクション”をしないと現状維持はおろか「不安な状況」を抱ええたり、「不安定な生き方」になる可能性を「放置」するわけにはいかないから「何かをしなくては」というある種の「不安な感覚」・・・
この「不安な感覚」の部分を自分なりに解明しようとすると、最近の「終電間際の車内」から感じることが、それに近いのかな・・・
私自身、毎日電車を乗り継ぎ、職場へ出勤し、仕事をし、帰宅します。その車内で感じることは遅くまで働く「疲れた若者」と「不機嫌な大人」という構図です。
昔から「不機嫌な人」は多かったと言われればそうなのですが、こんなに多かったかな・・・・特に私より年上の「管理職」という風な方々・・・・(あくまで、主観ですけどね。)
それと終電間際に多い「疲れきった若者」。
一昔前、終電は酔っ払いの天下でした。飲んで、遊んで、「発散」したサラリーマンの独壇場。それが、今は、「疲れきった若者」と「ごく少数のおじさん酔っ払い」・・・・
「遊び疲れた若者」(遊び疲れないけどね「若い」なら)ではなく、「働き疲れた若者」が、それも友達・先輩・同期といるのではなく「ひとりで」眠っている。多くの20代、30代が終電まで働いている・・・・
「景気」とか「時代の変化」とかいうことなのでしょうが、あの騒がしい「活力」みたいのものは、どこにいったのかな・・・・
そんなことを漠然と感じていたのですが、この本がその「答え」に感じてならないのです。
本書内の『第5章:超世代座談会「就職氷河期世代の逆襲」』が、特に興味深かった。
ワーキングプア、フリーター、必死で「努力する若者」(=フリーターを否定する若者)、そしてその世代の親御さんの座談会は、世代間の溝と、働くもの同士の溝を露にして、堂々巡りを繰り返しながら、「溝の深さ」を明らかにしてしまいます。特に、メディアで作られた「フリーター像」から離れなれない固定観念の強さが印象に残ります。
また、『最終章:プレカリアートの不安で曖昧な未来』で語られる雨宮処凛氏のメッセージは、私の感覚、不安を「文字」に的確に表された気分で・・・「きっとここに集約するのだろうなー。今の漠然とした不安の感覚は」 と思ってしまったのです。
その終章に書いてあった1985年刊の『21世紀のサラリーマン社会』経済企画庁総合計画局編(東洋経済新報社)の引用ページがあったので、リンクしておきます。その中に、こんな内容があります。
前略
「それでは、内部労働市場に参入できない団塊二世たちはどうなるのであろうか。簡単には予測できないが、女子を中心に非自発的な非労働力化が考えられるし、失業者として滞留する者も増えるかもしれない。また、大学・短大・専修学校等の受け入れ枠が拡大すれば、石油ショックの時のように一時的に進学率が上昇することもありえよう。しかし、この方法は基本的に解決策とはならない。大量新卒者の時代が一〇年以上にわたって続くからである。結局のところ、内部労働市場に参入できない団塊二世たちのかなりの部分がアルバイト等外部労働市場での労働を余儀なくされるのではなかろうか。昭和六〇年代半ばには、団塊の世代は四〇代、働き盛りである。一方、団塊の世代の妻たちは子育てを終えパートタイマー等の形で労働市場に参入してくる。
この時期には団塊の世代の夫、妻、子の二世代が同時に不安定な労働市場に身をさらすことになるのである。むろん、現在のアルバイトの賃金でも若者が生活していくためには差し当たり困難はないであろう。しかし、結婚し子供が生まれ、教育費がかさむようになり、また住宅ローンを抱えるようになればアルバイトで生活することは不可能である。アルバイトを転々としながら、三〇歳前後になって内部労働市場に参入しようとしてもその壁はあまりに厚い。」(p.111 -112)「(…)つまり「よいものは採用する」というのは、採用に値する専門的技術を持っていればということで、内部労働市場に参入できない団塊二世が、「未熟練者」であることを考えれば、やはり日本的雇用慣行の下では就職のチャンスは一回しかないと考える方が自然であろう。そして、この就職のチャンスが一回しかないということが団塊二世の就職問題を考える際に最も重要な点である。」(p.113-114)
「以上のことから、「新卒採用重視、中高年層の流動化によるピラミッド型雇用構造の維持」というのは、あくまでも企業の理想であり、現実問題としては新卒採用重視といってもそれほど採用を増やすわけにもいかず、中高年層の流動化といっても、そのかなりの部分を抱え込まざるをえないというのが実状であろう。従って、大企業では爆発的に増える中高年齢層のため、新卒採用が抑制されてしまう危険があるとみざるをえないのである。」(p.120-121)
22年前、十分に予見できているんだ・・・・それなのに、何もしなかったんだ・・・・(それ以上に加速したとと彼女は言うだろう)
22年前の「未来予測」を放置し、直面するプレカリアート問題に無関心でいるということは、何もしなかった=自分のことだけを考えていた「ダメな先輩世代」と将来必ず烙印を押される。
いや、困った・・・・でも、この就職氷河期世代の主張は、社会保障、税制、企業のあり方、労働法制、グローバル化まで今の社会が抱える歪をそのまま投影しているように感じてしまいます。
今、私達が「漠然と感じる不安」は、プレカリアートが感じてきた「不安」と同一だと考えたほうがいいようです。
そして、彼らへの「負のレッテル貼り」をやめ、「共有する問題」だと感じないと、「保身しか考えない正社員」や「利益のためなら血も涙もない経営者」という「みっともない無責任な大人」のレッテルを貼られ、数年後、十数年後に断罪され、大事にされず、ひいては孤独死を迎える「悲惨なスパイラル」が想像できるのは私だけでしょうか・・・・・
追記:
今回は「ブログ記事を探せ」というより、プレカリアートの話になってしまいました。(それも中途半端ですみません・・・)
この話題は、心に棘が刺さるし、考えれば考えるほど「徒労感」というか・・・「虚無感」というか・・・
多くの社会問題を「他人事」としてしてきた我々テレビ視聴者で「会社終身雇用幻想」を当たり前としている世代には、彼らのメッセージは重すぎるかも・・・・
ただ、プレカリアート問題を考えることが、「この国の未来」を考えるポイントになるような気がするんですよね・・・
トラックバック(0)
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.tuukin.com/blog_kanri/mt-tb.cgi/152
日本経済新聞10月29日付「経営の視点」の欄で、取り上げられている記事のタイトルである。 記事自体は、サブタイトル「食品、安心軽視のとがめ」が示して... 続きを読む



最近のコメント